2019 school work
観世能楽堂+多摩美術大学
能楽ポスターワークショップ2020
サイズ: B1ポスター(728×1030mm)(2点)
観世能楽堂で観劇した「荒磯能」を題材に、ポスター作品を制作するワークショップにて、提出した作品。
能を鑑賞する機会が、普段から自分には全くなかった。そのため、日本の古くからの伝統芸能を、自らの目で観て、感じて、堪能することは、自分にとって非常に貴重で豊かな機会であった。現代の日本社会で生きていると、どうしても日本の嫌な部分ばかり目にしてしまう。そんな中で、日本古来の美の表現に触れることは、日本が持つ魅力や豊かさを今一度思い出し、原点に立ち返ることと同じである。そういったことを考えながら、舞台と向き合い、ポスター作品を制作した。 能を鑑賞して、演者の奏でる音の幅広さに圧倒された。 歩いているのに、そこに存在を感じられない程の静 けさ、舞台で激しく動きまわり伝えられる熱量、「静」 から「動」のグラデーションの美しさに感動した。こ の、間の豊かさを表現するために墨を用いた。水の濃 度と比例して変化する墨の黒は、どこを切り取って も違う表情を見せる。何度も和紙に墨を垂らし、最高 のグラデーションを吟味した。また金は、能装束にお いて代表的な色の一つだと知った。光沢性を持ち印 象が強いため、高貴さや力強さを表す。遠い未来、能 が気高く力強く存在し続け、日本の美しさを支える 柱の一つであり続けることを願って、金を大胆に用いた。

